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文化館エントランスで浮谷東次郎仕様のレプリカが展示

展示はすでに終了していますが…

2024年2月12日までの展示となっていたので、現在はもう見ることができないが、トヨタ博物館の文化館エントランスで浮谷東次郎仕様のトヨタスポーツ800UP15型が展示されていた。
浮谷東次郎の現役時代を知る人は少なくなっているわけだが、なんと言っても日本のモータースポーツ史上に残る伝説のドライバーということもあって、かなり話題になったようだ。

浮谷東次郎は1942年生まれ、1965年に鈴鹿サーキットでの練習中に事故にあって死去、わずか23年の生涯を文字通り駆け抜けていったドライバーだ。
もう半世紀以上前に活躍した人物だが、とくにトヨタスポーツ800で活躍したことが広く知られており、この車と言えば浮谷東次郎と言われるほど車好きの間ではよく知られているのだ。
そんな伝説のドライバーの愛車を復元したトヨタスポーツ800がトヨタ博物館に展示されたのだから、話題にならないはずがない。
博物館に展示されたことによって、浮谷東次郎がまさに博物館にふさわしい伝説の存在として認められたと言ってもいいんじゃないだろうか。

今回展示された車について

今回展示されていたモデルは、現代的な視点で見ると、モノクロというかアナログな雰囲気が漂うデザインだ。
これは1965年に船橋サーキットで開催された全日本自動車クラブ選手権において、彼が運転し見事優勝を飾った車体を復元したものだ。
しかも単に優勝しただけではない、途中で他のドライバーのスピンに巻き込まれてしまい車の一部を損傷、大幅に順位を下げた後に猛然と追い上げ、他の車を文字通りごぼう抜きしたうえで見事優勝を飾ったという非常にドラマティックなレースだったのだ。

このレースによって、浮谷東次郎とトヨタスポーツ800が伝説の存在になったといっても過言ではないだろう。
このトヨタスポーツ800は「ヨタハチ」の愛称で呼ばれ、日本の小型車の元祖的な存在として現在でも高い評価を得ているが、このレースでの浮谷東次郎の活躍によってその評価にさらに箔がついたと言える。
今回のトヨタ博物館の展示では、そんな伝説の一端を復元モデルの形で味わうことができる。

当時の車好きの間での熱狂はすごかったらしい。
先ほどデザインはアナログな雰囲気がすると書いたが、当時はそのグレーのカラーリングを真似するトヨタスポーツ800のドライバーが続出したらしい。
一時期、この復元モデルみたいな車が公道でたくさん見かけることができたわけだ。

浮谷東次郎の後、世界で活躍する日本人ドライバーが多数登場したが、彼は世界に羽ばたく直前に事故でなくなってしまったといえる。
今回の展示からは、そんな彼の「もしかしたらあったかもしれない未来」を思いを馳せるよい機会にもなった気がする。