電動モペットとはどんな乗り物?
電動モペットと言われて何のことだかわからない人でも、実物を見れば「ああ、このことか」と納得するかもしれない。
近年公道で走行している姿を見かける、電動モーターがついている「ペダル付きバイク」のことだ。
この「ペダルがついている電動モーターで走る乗り物」という立ち位置が非常に曖昧で、「それってバイクなの?自転車なの?」という疑問が生じる。
実際モーターを使ってバイクのように走らせることもできるし、ペダルで自転車のように走らせることもできる。
この使い勝手の良さが評価されて、現在、気軽に利用できる移動手段として公道で見かける機会が増えているのだ。
しかし一方で、この曖昧さゆえに危険走行や事故が相次いでおり、電動モペットの使用者に対する風当たりも強くなっている。
危ないケースでは、自転車のつもりでバイクのように運転していることが多く、スピードの出しすぎでとっさのときにちゃんと反応できないなど、運転者が電動モペットをうまく使いこなせていないことによる事故が増えているのだ。
実際に取り締まりが増えている
実際に、警察による電動モペットの取り締まりも増えている。
なぜかというと、まず2023年のデータで事故件数が前年の倍に急増した事実がある。
危険運転をする使用者が増え、事故も増えていることで取り締まりそのものが増えているのだ。
加えて、危険運転をする使用者が増えたことで警察が取り締まりを強化している面もある。
事故が起こってからでは遅いので、そうなる前に危なそうな使用者を取り締まる、という予防策が講じられているわけだ。
この電動モペットの問題点は、当の使用者がこの乗り物はどんな乗り物なのかを十分に理解していない点にある。
自転車のつもりで運転している人も多く、こうした人がちょっとした油断で事故を起こしてしまうのだ。
とくに曖昧になっているのが、電動アシスト付き自転車との違いだ。
同じようなものだと思っている人も多いらしいが、実際にはこの2つはまったく別のジャンルの乗り物なのだ。
電動アシスト付き自転車はあくまで「自転車」だが、電動モペットは「原付バイク」なのだ。
これは2024年3月に閣議決定された道路交通法改正案においても明確にされたもので、たとえモーターを止めてペダルをこいて運転している状況でも「自転車ではなく原付バイク」として扱われる。
つまり、この電動バイクを運転するには原付バイクの免許が必要で、歩道での走行はもちろん不可、そしてヘルメットの装着も義務である。
しかしこれがわかっておらず、自転車感覚で使っている人も多く、こうした人たちが取り締まりの対象になることで取り締まり件数を増やしている面もあるのだ。
便利な移動手段なのは間違いないだけに、正しい知識と免許、ルールのもとで安全に利用するよう努めてもらいたいものだ。